最新ニュース  2025年8月10日 機械設計2025年9月号 連載記事掲載のお知らせ




ようこそ実際の設計研究会のページへ
代表あいさつ

 実際の設計研究会は,設計活動に関連する事がらについて考えたり実践したりして,得られた知見を社会に発信するグループです.この会は,今から約40年前に東京大学工学部産業機械工学科の畑村研究室の卒業生が集まって発足したものです.

 大学では設計の方法を教えますが,当時のカリキュラムでは,図面の書き方や,計算方法などの,狭い意味での設計教育しかできていませんでした.しかし,実物を作って,実際に役に立つはたらきをさせるには,単なる図面描きや設計計算だけではまったく足りません. 要求される機能を分析して,それを実現する手段を決めて,それを具現化して実際に実行する,という一連のプロセスに必要となる知識を網羅的に伝えなければ,本当の設計ができるようにはなりません.しかし,そのような設計教育のための教科書も当時はありませんでした.そこで,卒業生が集まって,研究室で行っていた設計ガイダンスの内容を元にして,教科書を作る活動を始めました.

 そのときに心がけたのは,実社会で起きている実際の出来事に基づいた内容,実際の生産現場で役に立つ内容を伝える,ということでした.そのようにしてできた本が,1988年に出版された「実際の設計 −機械設計の考え方と方法」です.それ以来,40年間で約30冊の書籍を世の中に送り出してきました.その内容も,すべての設計に共通する内容の本編,はじめて設計を学ぶ学生や技術者向けの基礎知識編,各分野の具体的な内容に特化した実践編,広く一般的な内容を扱った総合知識編など,シリーズ全体として充実したラインナップになりました.また,日本語で出版するばかりではなく,英語,韓国語,中国語(繁字体,簡字体)およびタイ語で出版されているものまで広がってきました.

 会のメンバーは数十名ですが,年に5〜6回のミーティングをおこない,議論をしながら本を作っています.メンバーの活動分野,業種や年齢層も幅広いため,物ごとを多面的に議論でき,また個々の技術の詳細から組織運営や社会構造のようなことまで,幅広いレベルでの議論ができていると感じています.

 このような会の活動を通して,我々自身が何かの気付きを得たり物ごとの理解を深めたりしながら,広く情報発信して世の中の役に立つということが我々のモチベーションです.2020年に会の代表を畑村洋太郎から土屋健介へ引き継ぎましたが,これから自分たちの成長と世の中の発展を目標にして,設計に関する情報発信活動を続けていきたいと思います.

 この実際の設計シリーズの読者諸氏にも,ご自身の活動に役立てて頂くとともに,得られた知見をぜひ周囲の方々にも伝えて頂きたいと思います.そのようにして,結果的に技術や社会の発展に貢献できたとすれば,我々にとって望外の喜びです.

2025年7月
「実際の設計研究会」を代表して
土屋健介